#宗教

「熊野別当」についての私見

木曽福島の紅葉です。 ある本に、熊野三山が「熊野三山検校」によって実効支配される以前に熊野三山の実務上の最高管掌者であった「熊野別当」について書きましたので、やや補足しつつ紹介します。 「熊野別当は,熊野三山に奉仕する社僧や神官達の実務上の…

「熊野三山検校」についての私見

ある本に熊野三山の最高権威「熊野三山検校」について書きましたので紹介します。 「熊野三山検校職は、寛治四年(1090),熊野参詣が隆盛になったため,地方霊場としての熊野三山を組織的に管理する必要性から,在地で行政上の実権を握っていた熊野別当の…

「白山平泉寺境内図」の中に描かれた熊野社(堂)

11月3日、福井城跡の堀の中に設置された柵の中にカルガモが10羽ほど巣を作っていました。留鳥としてここでこの冬を越すのでしょうか。 ところで、白山神社所蔵の「中宮白山平泉寺境内図」(江戸時代制作)によりますと、白山平泉寺の奥ノ院である「三宮」の…

白山信仰に関連する施設を巡検 №② 林西寺と白山本地堂の仏像

石川県白山市白峰村に、真宗大谷派の寺院である林西寺(りんさいじ)があります。ちょうど葬式をしていましたので、中に入れませんでした。 そして、そのすぐそばに、明治初年の神仏分離の嵐の中で白山の山頂付近から引き下ろされた下山仏を安置した白山本…

白山信仰に関連する施設を巡検 №① 白山比咩神社

昨日、発表はすべて終了。今日は、白山信仰に関連する施設を巡検。 白山が開かれたのは、奈良時代前期の養老元年(717)で、越の大徳として仰がれた泰澄大師の白山登攀・参拝によると言われています。 平安時代前期の天長9年(832)には、山麓に白山の3馬場(…

やっとトンボが・・・・。論文の抜き刷りをご恵贈いただきました。

まだ暑いですが、昆虫の動きを見ていると、秋がやって来た感じがします。どこにいるのかわかりませんが、ヒグラシとツクツクボウシの鳴く声が近くで聞こえました。 今日やっと、シオカラトンボの写真を撮ることができました。しばらく粘って仲良くなった甲斐…

2010年度国際熊野学会聖護院大会を京都市で・・・・。

5月22日から25日まで、ブログを休載して京都に行って来ました。 5月22日から24日まで、修験宗大本山の天台宗寺門派門跡・聖護院(しょうごいん)で、2010年度国際熊野学会聖護院大会が開かれました。私も23日に研究発表する予定があったので、この日から…

熊野本宮旧社地大斎原での斎庭神事と熊野修験による採燈大護摩

4月15日、午後2時すぎ、熊野本宮旧社地「大斎原」(おおゆのはら)において斎庭神事がおこなわれました。 まず、宮司以下祭員が所定の座に着き、宮司一拝が行われ、修祓、神饌供与、祝詞奏上と続きます。 少年達による大和舞。楽が奏せられました。 少女…

まだ満開とはいえませんが、スズランの花咲く。

まだ満開とはいえませんが露地にスズランの花が咲きました。 前回紹介した時とそんなに変わっていません。成長は比較的遅いですね。

熊野本宮大社の春の例大祭―まずは本殿祭―。

4月15日、熊野本宮大社の春の例大祭が始まりました。 午前8時に本殿広前で本殿祭が始まる予定でしたので、私は午前6時30分頃、この時刻に間に合うように家を出ました。 本殿祭が開始される10分前に着いた時、すでに両方に分かれて設けられた天幕の下に、4…

熊野本宮大社の4月の諸行事と例大祭への招待

熊野本宮大社の九鬼家隆宮司から、4月の諸行事のお知らせをいただくと共に、春の例大祭へお招きいただきました。ありがたいことです。 この機会を利用し、できるだけ多くの行事に参加し、見聞をひろげてきたいと思っています。 4月13日(火) 午後1時(午…

滝尻王子社内に設置された宝篋印塔

ここに掲載したのは,古くから熊野三山への入口に当たると認識されていた滝尻王子社内に設置された宝篋印塔の写真です。 宝篋印塔とは,皆様ご承知のように,鎌倉時代前期以降,専ら死者の墳墓の標識や経塚の標識として,あるいは死者の追善供養や生者の逆修…

中国唐代の金銅小仏 2体

現在、日本では仏像ブームだそうです。私はブームになる前から、仏像に心惹かれていましたので、特別な感慨はありませんが、まあ、多くの人々が関心を持ってくれることは、悦ばしいことだと思っています。ただ、泥棒は困りますが(怒)。 私は小仏が好きで、中…

ライトアップされた京都市の清水寺

昨年の12月初旬に、息子と一緒に、ライトアップされた京都市の清水寺を見物に行って来ました。 たくさんの人手の中を掻き分けつつ詣でたのですが、それほど性能のよくないカメラで撮影するのに大変苦労しました。ビデオ撮影もしましたがそっちの方が少しマシ…

高野山霊宝館にて

高野山霊宝館(写真①)は、高野山内の各寺院に伝わる仏教美術の貴重な品々を保存するため、1922年に建てられました。高野山にあるたくさんの国宝や国重要文化財の大部分は、1961年に完成された館内の大宝蔵に収蔵されています。 館の周りの紅葉、綺麗でしょう…

工事中の金剛三昧院の建物

11月2日、高野山の小田原谷にある金剛三昧院へ1人で行って来ました。 金剛三昧院は、建暦元年(1211)、二位禅尼・北条政子が初代将軍・源頼朝の菩提を祈って建造したもので、初めは禅定院と号されていました。禅定院は、承久元年(1219)、三代将軍・源実朝の…

高野山内の弘法大師の「御廟」を中心とした聖域・奥の院を味わいつつ歩く

11月2日、日本山岳修験学会へ参加された方々が2つのグループに分かれて高野山内を巡検している合間に、私はまず奥の院に向かいました。 奥の院は、ご存知のように入定した弘法大師空海の「御廟」を中心とした聖域です。 私は中の橋の公園墓地付近から聖域…

京都でまず行きたかった場所・・・・実は・・・・。

白峯神社の近くを通ったのは,実は道を間違えたのが原因でした。 本当は,堀川今出川交差点から南西に向かうべきだったのを東に向かってしまったことがこのような結果に繋がってしまったということです。間違ったことが良かったとは正にラッキーでした。 し…

秋分の日を前にして

もうお彼岸です。日本各地で色々な行事がおこなわれています。 今日,秋分の日を前にして,我が家の墓地にお参りして来ました。 我が家の墓地は,白浜半島の高台に設けられた共同墓地の中にあります。 我が家の墓地は元々,白浜半島の付け根にあたる富田の才…

息子から送られて来た写真 №② 清水寺

清水寺は、山号を音羽山と称する京都でも有名な寺院の1つです。 『清水寺縁起』などによりますと、宝亀9年(778年)、大和国興福寺僧・賢心は、夢のお告げにより山城国愛宕郡八坂郷の東山に行き,音羽山に籠って千手観音を念じ続けていた行叡居士に出会いまし…

「那智の火祭」を見物 №③

しばらく,日本を代表する名医(「神の手」といわれているそうですが)がいるという関東地方の病院に今後のカテーテル手術の打ち合わせに行って来ました。 それゆえ,ブログの更新がいく分遅れました。しかし,あまりにも写真の数が多く整理するのにちょうどよ…

「那智の火祭」を見物 №②

全国各地から集まった多くの観客を前に,約50㎏の「大松明(オオタイマツ)」を担いだ12名の氏子達に先導され,祭主の宮司・神職ら一行が長い石段を下り,熊野那智12神を滝に戻すための神事を行うため,那智の滝の前に向かったことは,前回,すでに説明しまし…

「那智の火祭」を見物 №①

昨日,19名の和高教OB・OG達と一緒に3台の車を連ねて,「那智の火祭」見物に行って来ました。当初,天気が危ぶまれたのですが,熊野の神々のお蔭もあって無事見物できました。 全国各地から集まった多くの観客を前に(写真①),主役の大タイマツを担ぐ12…

香雪美術館の「仏教美術の名品」展

神戸の香雪美術館(写真①)において,大正3年に発表された村山龍平氏の仏教美術コレクションの中で,未公開の仏像や仏画を初めて陳列するとともに,平安時代・鎌倉時代の経巻及び絵巻物を展示し,信仰と造形との緊密なつながりを感じ取ってもらおうと,「仏教…

岩屋山石龕寺の金剛力士立像

最近,熊野修験道に関係した寺院・神社の個別的研究を進める中で兵庫県内の寺社に注目しています。 中でも,岩屋山石龕寺(いわやさんせきがんじ)は,兵庫県氷上郡山南町岩屋にある6世紀頃に聖徳太子によって建立された古刹としてよく知られています(後に真…

時枝務氏からエッセイ文集『あざみ』22号をご恵贈いただきました。

立正大学の時枝務氏(修験道考古学専攻)から,薊の会(会長・奈良県橿原市小房観音寺院主密門光範師)が発行しているエッセイ文集『あざみ』22号をご恵贈いただきました。 メンバーを見ると,青山茂氏,菅谷文則氏,岡本健一氏,和田卒氏,前園美智雄氏,兼保保…

「那智権現縁起絵巻」の残欠

これは「那智権現縁起絵巻」の残欠と思われるもので,ほぼ真ん中に縮小された那智の大滝が描かれています(1枚目の写真)。 滝の下の小さな橋の右側に,草葺き屋根の庵が描かれています。その上に「那智籠庵室」の文字がしっかりと書かれています。たぶんここ…

上杉謙信遺品の毘沙門天画像

上杉謙信の戦勝祈願仏である毘沙門天像を探し求めているうちに,かつて新婚旅行(家人はこの新婚旅行のことをまるで歴史の研修旅行のようだったと文句を言い続けています)の時に寄った米沢の上杉神社のことを思い出しました。 この毘沙門天画像は,上杉神社に…

14世紀前半制作の三井寺(園城寺)古図に描写された「熊野社」

熊野と修験道寺門派の関係を具体的に示すと思われる,滋賀県大津市にある三井寺の境内古図に描写された「熊野社」を紹介します。 鎌倉時代末期(14世紀前半)に制作されたとされる三井寺(園城寺)古図(5幅)の中の1幅「中院」古図に,切妻造り・庇(向拝)付きの…

智証大師帰朝1150年特別展・国宝三井寺(園城寺)展が開催中。

現在,智証大師(円珍)帰朝1150年特別展・国宝三井寺展が,11月1日から12月14日まで,大阪市立美術館で開催中です。 三井寺は別名・園城寺ともよばれています。三井寺は元来,近江国滋賀郡の豪族・大友村主氏の氏寺として白鳳時代に建立されましたが,貞…