仏像・神像

中国の観音菩薩立像

この仏像は,中国の石造観音菩薩立像です。6世紀末から7世紀初めにかけて中国を久し振りに統一した隋代の仏像です。 陝西省博物館所蔵の仏像ですが,以前この陝西省博物館を訪ねた際,見掛けたことがあります。でも,その時は他の物に気をとられていました…

インドのシュリー・ラクシュミー神像

この神像は,インドのマトゥーラー出土のシュリー・ラクシュミー神像です。 クシャーナ王国時代(1世紀頃)のものです。 シュリー・ラクシュミー神像は,富と美の女神です。左手で軽く右胸を圧していますが,これは生命の本源である乳を出す動作であり,女神…

鳥取県三徳山三仏寺投入堂の蔵王権現立像

以前紹介しました,鳥取県三朝町の三徳山三仏寺(ミトクサンサンブツジ)の奥院,断崖絶壁の岩窟に,微妙な感覚で投入堂が建立されています。そしてそこには,かつて7体の蔵王権現像が安置されていました。 蔵王権現は,山岳修験の開祖・役行者小角(エンノギ…

なぜ,こんな観音菩薩立像がこんな場所に・・・・那智経塚の秘められた謎

この観音菩薩立像は,昭和5年に那智経塚から発見された観音菩薩立像です。銅製の観音菩薩立像の表面に厚く渡金が施されています。 製作された時期は,8世紀頃です。 2日にわたって御覧いただいた2体の観音菩薩立像と見比べてください。何か異質な感じに…

那智経塚発見の十一面観音菩薩像

これも,大正時代に那智経塚から発見された観音菩薩立像です。青銅製の十一面観音菩薩立像の表面に渡金がほどこされています。 昨日御覧いただいた奈良時代初期制作の観音立像と見比べてください。微妙な時代の違いが分かりますか。 制作年代は飛鳥時代後期(…

那智青岸渡寺所蔵の観音菩薩立像

大正時代に那智経塚から発見された観音菩薩立像です。本来は金銅製でしょうが,渡金はすべてとれてしまい青銅の部分が表面にあらわれているようです。 制作年代は奈良時代初期でしょうか。 現在,那智青岸渡寺に所蔵されています。重要文化財です。 仏像の写…

稲羽根王子社の祭神

現在,和歌山県西牟婁郡上富田町岩田にある岩田神社に,平安時代から江戸時代にかけての多数の神像が合祀されています。 そのうち,この女神像他何体かの女神像は近くの上岩田にある五体王子の1つである稲羽根王子社の祭神(若宮か)と見なしても良いでしょう…

リビアにあるヴィーナスの神像

リビア=アラブ社会主義人民国の首都・トリポリにあるジャマヒディヤ博物館には多くの見るべきものが展示されています。 玄関を入ってすぐの所にある1室に,かつて盗難にあったローマ時代の美神ヴィーナスの神像が展示されています。大理石製です。 世界遺産…

新宮市宗応寺蔵の聖徳太子像(南無仏太子像)

聖徳太子像には,南無仏,童形,孝養,馬上,摂政,講讃の6種があるそうです。 和歌山県新宮市宗応寺蔵の聖徳太子像は,2歳の時に東を向いて唱えたとされる南無仏太子像です。上半身は裸で,下半身には緋色の長袴を着ています。 宗応寺は,古くは岡輪寺と…

熊野那智大社の夫須美神坐像

現在の熊野那智大社の社殿は,江戸時代末期の嘉永4年から7年(1851~1854)にかけて建立されました。第1殿・滝宮,第2殿・証誠殿,第3殿・中御前,第4殿・西御前,第5殿・若宮,そして第6殿・8社殿が直角に折れ曲げて,並んで建てられています。 熊野…

補陀洛山寺蔵の千手観音立像

山伏や熊野比丘尼たちが諸国の民衆に熊野詣を説いて回る際に使ったとされる「熊野参詣曼荼羅」の右下一帯に,那智勝浦町浜ノ宮にある浜ノ宮王子社(熊野三所大神社)と補陀洛山寺(ほだらくさんじ)が詳しく描かれています。 浜ノ宮王子社及び補陀洛山寺について…

家津美御子大神坐像

熊野速玉大社の第3殿・証誠殿の主祭神が,家津美御子大神坐像です。 同じく証誠殿に祀られている国常立命坐像の制作時期は,熊野速玉大神坐像・夫須美大神坐像などと同様,1具として9世紀後半に制作されたと考えることができそうですが,この家津美御子大…

国常立命坐像

かなり痛々しいですが,この国常立命坐像は,熊野速玉大社の第3殿・証誠殿の祭神です。 でも,不思議なことにこの証誠殿の主祭神は家津美御子大神坐像です。 国常立命坐像の制作時期は,和歌山県立博物館学芸員の大河内氏によると,熊野速玉大神坐像・夫須…

熊野夫須美大神坐像

この熊野夫須美大神坐像は,熊野速玉大社の第1殿・結宮の祭神です。 福よかで艶やかな面相。頭の上で高く結った髷。両肩と背中に長く垂らした髪の毛。 女神は左膝を立てて座り,立てた膝の上で重心をやや左に写しつつ,両手を袖の中に入れたまま静かに坐す…

熊野速玉大神坐像

日本にはたくさんの神像があります。 神像には何となく「怖ろしい」というイメージがつきまとっています。 しかし,宝冠をいただいた熊野速玉大社の神像は,見たところ実に優しい感じがします。 氏神としての権威を漂わせながらも,氏人を包みこんでくれるよ…

新宮市の阿須賀神社所蔵の懸仏

新宮市の阿須賀神社所蔵の懸仏です。 1枚目の写真は,若宮の本地仏である十一面観音像の写真です。鎌倉時代(13世紀)の懸仏です。 2枚目の写真は,事解男神の本地仏である大威徳明王像の写真です。本来,鏡面に接合されていた鎌倉時代(13世紀)の懸仏で…

開田高原の下ノ原覚明祠並びに平次郎地蔵と石仏群

11月5日,日本山岳修験学会の帰り道に開田高原をうろついてきました。 御嶽を写し歩いているうちに,途中で開田村指定民俗文化財の「下ノ原覚明祠並びに平次郎地蔵と石仏群」に立ち寄りました。 説明板によりますと,ここは,御嶽大権現と覚明神を祀る,開…

和歌山県田辺市本宮町所在の湯峯温泉・東光寺の不動明王像

和歌山県立博物館学芸員の大河内氏の観仏サイトに次回の熊野本宮展(正式には「熊野本宮大社と熊野古道」)のお知らせが載せられていました。 その中で目についたのが,和歌山県田辺市本宮町にある湯峯温泉の東光寺ですでに知られていた室町時代の不動明王像か…

田辺市・滝尻王子社の皇太神像

滝尻王子社(和歌山県田辺市中辺路町)の旧社地は明治22年(1889)の水害ですべて流されてしまい,社祠は一時対岸に移されました。 しかし,戦後に元の位置に戻されました。 椎の木の林に囲まれた王子社の建物は昭和54年(1979)に再建された建物です…

トルコ・エフェソスのアルテミス神像

ギリシア民族の一派であるイオニア民族がアナトリア半島西部のエフェソスに植民する以前,原住民の間に地母神信仰が広く存在していました。 それがいつの間にかイオニア民族が持ち込んだアルテミス信仰と同一視されるようになり,紀元前7世紀頃,エフェソス…

イスラム教国トルコで見かけた聖母マリアの像

イスラム教国トルコでキリスト教徒が聖母とあがめる新造のマリアの像を見かけました(1枚目の写真)。 ここは,キリスト教の聖地の1つである「エフェソスの聖母マリア教会」(セルチュク市内)から約7㎞離れたブルブル山中です。 2枚目の写真は,イエスの母…

タイ・アユタヤの釈迦如来涅槃像

これは,タイのアユタヤにあるワット・ヤイ・チャイ・モンコンの中に造られた巨大な釈迦如来像です。 この仏像は,釈迦(本名ガウタマ=シッダールタ)が入滅する前の姿を表現した涅槃像です。 タイは,チベット・中国・朝鮮・日本のような大乗仏教国ではなく,…

和歌山県の名杭十一面観音像

これは,和歌山県日高郡印南町名杭の観音堂に安置されている十一面観音立像(平安時代前期制作,1枚目,2枚目,3枚目の写真)です。 県文化財に指定されています。 現在,名杭集落の入口の小高い丘の上に安置されていますが,元来,熊野五体王子の1つとし…

トルコ・イスタンブール地下宮殿の神像

以前,トルコを旅した際,イスタンブールの地下宮殿(イエレバタン・サルヌジュ)を見学してきました。 この地下宮殿は,4世紀のローマ帝国皇帝コンスタンティヌスから6世紀のビザンツ帝国皇帝ユスティニアヌスの時代にかけて,建設されたといわれています。…

大分県の菅生石仏(国史跡)

大分県大野郡三重町に菅生石仏(国史跡)があります。ちょっと寄り道でしたが,ここは避けることのできない所でした。 全部で5体あります。右端から左端まで,千手観音像,薬師如来像,阿弥陀如来像,十一面観音像,多聞天像と並んで居ます。熊野信仰の影響を…

修復前の地蔵菩薩像(新宮市少林寺所蔵)

修復前に写真撮影していた新宮市(旧熊野川町)日足の少林寺所蔵の地蔵菩薩像(平安時代末期)の写真を再発見しましたので,紹介します。 前にも述べたように,この地蔵菩薩像は,元来,熊野古道沿いの廃寺(志古奥の万歳峠付近に所在。寺名は不明)にありました。…

大分県の臼杵石仏群

大分県臼杵市の丘陵地に,日本の代表的な石仏群である臼杵石仏群(国特別史跡・国重文)があります。石仏群は地名によって,ホキ,堂ケ迫,山王山,古園の4石仏群に大別されます。 これからお見せする写真は,何れも1977年に大分県~宮崎県を旅行した時に撮っ…

長隆寺の木造阿弥陀如来坐像と木造観音菩薩立像・木造勢至菩薩立像

1枚目の写真の三尊像は,愛知県一宮市の長隆寺に安置されていた木造阿弥陀如来坐像と木造観音菩薩立像・木造勢至菩薩立像です。 両脇侍を左右にしたがえた木造阿弥陀如来坐像は,鎌倉時代前期に制作されたもので,魅力的な仏像です。この木造阿弥陀如来坐像…

遍照寺(和歌山県岩出市)の「弘法大師坐像」

京都で活躍した鎌倉時代末期(14世紀初期)の円派の仏師として三条法印朝円が有名です。 しかし,彼等とは別に,この時期に京都を離れた地域で円派仏師の活躍が少なからず知られています。 1人は鎌倉時代末期(14世紀初期)に,紀州の根来寺で尊勝像などを造立…

道林寺の木造毘沙門天像

これまた,町史編纂のために集めた写真です。 和歌山県日高郡旧南部川村の道林寺に安置されている木造毘沙門天像は,旧南部町との合併前,旧南部川村文化財に指定されていましたが,踏み付けている邪鬼を含めて像高100cmの神将形像です。 お顔がはっきり写っ…