国常立命坐像

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 かなり痛々しいですが,この国常立命坐像は,熊野速玉大社の第3殿・証誠殿の祭神です。

 でも,不思議なことにこの証誠殿の主祭神は家津美御子大神坐像です。

 国常立命坐像の制作時期は,和歌山県博物館学芸員の大河内氏によると,熊野速玉大神坐像・夫須美大神坐像などと同様,9世紀後半まで遡らせて考えることができるそうです。

 しかも,これら3神には色々と共通した特徴がありますし,3神で一具です。

 でも,家津美御子大神坐像(9世紀末期から10世紀初期に制作か)は制作環境そのものがこの3神とはかなり違っているようですし,むしろ熊野本宮大社の家津美御子大神坐像によく似ています。

 なんか,家津美御子大神坐像がいつのころか国常立命坐像を押し退けて証誠殿にもぐり込んできたような印象すら受けます。

 これはどうしたことなんでしょうか。
 
 神像の写真は,和歌山県立博物館編『世界遺産登録記念特別展 熊野速玉大社の名宝』(2005)より掲載させていただきました。