熊野夫須美大神坐像

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 この熊野夫須美大神坐像は,熊野速玉大社の第1殿・結宮の祭神です。

 福よかで艶やかな面相。頭の上で高く結った髷。両肩と背中に長く垂らした髪の毛。

 女神は左膝を立てて座り,立てた膝の上で重心をやや左に写しつつ,両手を袖の中に入れたまま静かに坐す。右膝は横にゆるやかに張り出し,微妙なバランスを保つ。

 熊野夫須美大神坐像の制作時期は,和歌山県博物館学芸員の大河内氏によると,熊野速玉大神坐像同様,9世紀後半まで遡らせて考えてもいいそうです。
 これもまた,現在,国宝に指定されています。

 この熊野夫須美大神坐像も私の大好きな神像の一つですが,熊野速玉大神坐像の「静」「父性」「威厳」に対して,「動」「母性」「豊満」を表現しているような気がします。

 神像の写真は,和歌山県立博物館編『世界遺産登録記念特別展 熊野速玉大社の名宝』(2005)より掲載させていただきました。