著作と論文

新刊書籍紹介、阪本敏行・長谷川賢二編『熊野那智御師史料』

新刊の書籍を紹介します。編著です。 阪本敏行・長谷川賢二編『熊野那智御師史料―旧宝蔵院所蔵史料の翻刻と解題―』(岩田書院、2015・09) [内容] 本書は、中世に熊野那智で最大の勢力を誇った衆徒(社僧)兼御師の実報院の分家・宝蔵院が 所蔵していた史料の…

鎌倉時代の熊野水軍の船の形と構造

かつて,阪本敏行は,『本宮町史 通史編』(2005年)所収の「熊野三山領と熊野僧供米」(138~147頁)の141頁に,紀伊国南部庄の「千里浜の沖合を往来する熊野船」と題して,『西行物語絵巻』(旧萬野本)の中から鎌倉時代後期のものと推定される帆船(準構造船)の…

新視点からの熊野古道散歩-和高社研第4ブロック現地研修会報告-№4

新視点からの熊野古道散歩 -和高社研第4ブロック現地研修会報告-№4 4,「滝尻王子社」と熊野古道館 「滝尻王子社」は,現在の田辺市中辺路町栗栖川の南西端,支流の石船川が本流の富田川に合流する渓谷にあります。現在は「滝尻王子宮十郷神社」と呼ば…

新視点からの熊野古道散歩-和高社研第4ブロック現地研修会報告-№3

新視点からの熊野古道散歩 -和高社研第4ブロック現地研修会報告-№3 3,高原から滝尻に向かって下り,滝尻山中の行場を見学 ワンポイント・アドバイザーのK氏にお礼をいって別れた後,滝尻方面に向かいました。途中,高原集落の中にある「高原熊野神社…

新視点からの熊野古道散歩-和高社研第4ブロック現地研修会報告-№2

新視点からの熊野古道散歩 -和高社研第4ブロック現地研修会報告-№2 2,高原から近世の道を上り,中世の道を通って高原に引き返す このあと,高原で茶房を経営しているK氏の案内で,旧旅館通りから大門王子方面に向かって滑り易い石畳の坂道を上りまし…

新視点からの熊野古道散歩-和高社研第4ブロック現地研修会報告-№1

新視点からの熊野古道散歩 -和高社研第4ブロック現地研修会報告-№1 はじめに 昨年12月,和高社研第4ブロック現地研修会に講師として招かれ,話をさせていただきました。 今回,世界遺産に指定された高原~滝尻間の熊野古道を歩き,静岡県袋井市教育委…

『熊野那智大社文書』を使う際の注意。その一例。

近年,熊野三山を研究する上で特に重要な史料として注目されているのが,『熊野那智大社文書』(続群書類従完成会)である。しかし,それを利用するに当っては,単純にその史料を解読するだけで事実を論じるのではなく,その史料の集積状況をも考慮した解釈が…

新発見の熊野本宮関係文書と敷屋庄の御師(二,御師・見座氏)

二,御師・見座氏 俗人である見座氏の本拠地は西敷屋にあったようで,熊野川左岸,少し奥まった場所に子孫が住む立派な石垣のある屋敷が現在でも残されている(西敷屋二一六番地)。 嘉慶二年(一三八八)三月二八日付けの「ミさの三郎右衛門入道山譲状」〈兵庫…

新発見の熊野本宮関係文書と敷屋庄の御師 (はじめに)

新発見の熊野本宮関係文書と敷屋庄の御師 はじめに・・敷屋庄の御師達・・ 弘安元年(一二七八)一〇月付けの「敷屋庄司兼能・御本預光俊寄進状」(『西福寺文書』1号〈『和歌山県史 中世史料二』所収〉,史料一①)に,寄進者として「敷屋庄司兼能・御本預光俊…

阪本敏行『熊野三山と熊野別当』(清文堂出版,2005年)

阪本敏行『熊野三山と熊野別当』(清文堂出版,2005年) 序論 熊野三山・熊野別当家研究史と本書の構成 一,熊野三山・熊野別当家研究史 1 一九七〇年代以前の研究 2 一九七〇年代から一九八〇年代にかけての研究 3 一九九〇年代から二〇〇〇年代にかけての…

阪本敏行『熊野三山と熊野別当』の紹介

阪本敏行『熊野三山と熊野別当』の概要を紹介します。 紀伊半島の一角に鎮座する熊野三山は,熊野本宮大社・熊野新宮大社・熊野那智大社の熊野三社を中心にして,それらを取り巻く大小無数の神社や寺院とから構成された,神と仏と人間が同居する巨大な聖地で…