阪本敏行『熊野三山と熊野別当』(清文堂出版,2005年)

阪本敏行『熊野三山熊野別当』(清文堂出版,2005年)

序論 熊野三山熊野別当研究史と本書の構成

 一,熊野三山熊野別当研究史
  1 一九七〇年代以前の研究
  2 一九七〇年代から一九八〇年代にかけての研究
  3 一九九〇年代から二〇〇〇年代にかけての研究
 二,本書の構成

第一部 熊野三山の統括組織

 一章 中世前期の熊野三山統括組織の実態とその変遷
  はじめに
  一,残存史料から見た熊野山および熊野三山の統括組織
   1 熊野三山検校
   2 熊野別当
   3 熊野権別当
   4 修理別当
   5 在庁(本宮・新宮など)・権在庁
   6 三綱(上座・寺主・都維那など)・熊野所司
   7 熊野山雑掌
   8 熊野山政所
   9 熊野惣公文所
   10 本宮長床執行・本宮長床前一
   11 新宮祢宜・阿須賀王子社祢宜
   12 熊野山上綱
  二,残存史料から見た那智山の統括組織
   1 那智検校
   2 那智別当
   3 那智執行
   4 滝本執行
   5 宿老
   6 上臈・一和尚
   7 在庁
   8 那智鳥居政所
   9 尊勝院留守
  おわりに

 二章 中世後期の熊野那智一山組織の実態と変遷
      ─両執行職をめぐって─
  はじめに
  一,中世前期の那智執行と滝本執行をめぐって
  二,中世後期の那智執行をめぐって
   1 十四世紀後半
   2 十五世紀前半
   3 十五世紀後半
   4 十六世紀
  三,中世後期の滝本執行をめぐって
   1 十五世紀前半
   2 十五世紀後半から十六世紀後半にかけて
  おわりに

 三章 熊野那智一山組織と米良氏・川関遺跡・藤倉城
  はじめに
  一,熊野那智の一山組織をめぐって
  二,実報院米良氏と廊之坊塩崎氏
  三,米良氏と川関遺跡・藤倉城
  おわりに

 四章 熊野那智大社社僧の系譜
  はじめに
  一,「尊勝院系図」をめぐって
  二,「法眼湛意書状」と「那智山実報院熊野別当系図
  三,「実報院系図」をめぐって
  四,潮崎万良文書中の「旦那相論和与状」と「那智山実報院熊野別当系図
  おわりに

 特論 熊野三山大仏師良円と西大寺教団の動向
  はじめに
  一,遍照寺の弘法大師坐像と熊野三山大仏師良円
  二,西大寺教団の地方展開と紀伊西大寺教団の動向
  おわりに

第二部 熊野別当家の政治的役割とその展開

 一章 十二世紀前半の熊野別当家をめぐる諸情勢
      ─『僧綱補任』の熊野関係記事を中心にして─
  はじめに
  一,長快と範尊に関連して
  二,長範・長兼兄弟に関連して
  三,行範と湛快に関連して
  おわりに

 二章 熊野別当家嫡子・庶子家分立による在地支配の確立
      ─三男流の長兼家による富田川中流域支配の実態─
  はじめに
  一,熊野別当僧綱家の成立と庶子家分立による在地支配の確立
  二,長兼家による十二世紀の富田川中流域支配の実態
  三,長兼家による十三世紀の富田川中流域支配の実態
  おわりに

 三章 熊野別当湛快の生涯とその時代
  はじめに
  一,若き日の湛快をめぐる人々とその時代背景
  二,常住社僧としての湛快の活躍と昇進
  三,別当湛快と保元・平治の争乱
  四,別当湛快と院政平氏政権
  おわりに

 四章 源平争乱期における熊野別当家の人々の動向
      ─「僧綱補任残欠」寿永三年の熊野関係記事をめぐって─
  はじめに
  一,史料の紹介
  二,人々の動向
  おわりに

 五章 寿永二年・三年における熊野別当家関係者と周辺の人々
      ─『僧綱補任』宮内庁書陵部蔵本を中心にして─
  はじめに
  一,史料の紹介
  二,史料の分析と考察
  おわりに

 六章 熊野別当湛増の生涯とその時代
  はじめに
  一,熊野権別当職に就くまでの湛増の歩み
  二,治承・寿永内乱期の湛増熊野水軍の活躍
  三,治承・寿永内乱後の湛増と将軍頼朝
  おわりに

 七章 熊野権別当湛顕をめぐる政治的状況
  はじめに
  一,宮地説とその基礎史料
  二,宮地説の検討
  おわりに

 八章 『新古今和歌集』の歌人行遍の和歌とその事跡
  はじめに─「法橋行遍」にかんする通説への疑問─
  一,「法橋行遍」の経歴にかんする私見
  二,「法橋行遍」の四首の和歌についての雑感
  おわりに

 九章 十三世紀前期の熊野別当家をめぐる諸情勢
      ─藤原頼資の熊野詣記および熊野参詣随従日記をつうじて─
  はじめに
  一,日記中に記載された熊野別当家の人々
  二,承久の乱前後の熊野別当家の動向
  おわりに

 十章 十三世紀中期の田辺地方における熊野別当整理欲の動向
      ─『吉黄記』正嘉元年閏三月二七日条の記事の分析をつうじて─
  はじめに
  一,『吉黄記』正嘉元年閏三月二七日条の記事の分析と考察
  二,「蓬莱尼」一族と本宮・田辺別当家の人々
  おわりに

 十一章 熊野権別当湛順と日向浦上氏
  はじめに
  一,『吉黄記』正嘉元年閏三月二七日条の湛順のこと
  二,「田部文書」所収の「関東下知状案」記載の湛順のこと
  三,田辺別当家浦上氏と高知尾庄
  おわりに

 十二章 田辺惣領
  はじめに
  一,「御師田部総領湛尊法印」をめぐって
  二,「田辺惣領法印」をめぐって
  おわりに

 十三章 熊野別当
       ─まとめとして─
  はじめに
  一,創設・発展期の別当たち─長快から範智まで─
  二,全盛期の別当たち─湛増鳥居禅尼の息子たち(行快・範快)─
  三,転換期の別当たち─湛政から正湛まで─
  四,衰退・解体期の別当たち─長真から快宣まで─
  おわりに

終論─今後の課題─

収録論文初出一覧
あとがき
人名索引(巻末より)