1400万年前のカルデラ噴火説を中心にして


 先日、『NHKスペシャル 列島誕生 ジオジャパン』第1集に続いて第2集をドキドキしつつじっくりと観せていただきました。

 正直いってかなり刺激的で説得力のある内容でした。
 私の故郷・紀伊半島が舞台になった話というだけでなく、今まで抱き続けてきたジオの謎の一部が明らかにされるかもわからないという場面設定が興味を抱かせ画面から目を離せませんでした。

 これによりますと、3000万年前、現在の日本列島の位置に陸地はなかったそうです。

 ここで第1の大事件が起こりました。2500万年前のことです。大陸の一部が引きちぎられ、海に出て行きました。
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 ついで、1500万年前、数々の火山島が連続して大衝突を繰り返す第2の大事件が起こりました。
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 ここまでが第1集。ついで今回の番組、第2集が始まりました。

 当時の巨大な島(今の中部・東海地方以西の西日本に相当する島)はそのほとんどがとてつもなく広い大平原でできていたそうです。

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 そして、1400万年前、現在の西日本各地で第3の大事件が起こりました。特に紀伊半島で起こったマグマの噴出、すなわちカルデラ噴火は地球最大規模の噴火であったといわれています。
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 登場した巨大カルデラ
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 紅色に囲まれた曲線の山々が当時噴火して作られたカルデラです。白色はその証拠、水色は温泉です。
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 そして、長い年月をかけて削られ今に伝えられた岩塊の代表が、東牟婁郡古座川町にある古座川の1枚岩です(↓) これは地上に出現した岩塊としては日本最大の岩塊です。【私注 実は熊野川沿いのある所にこの一枚岩に匹敵すると思われる別の一枚岩らしいものがあることを確認】
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 東牟婁郡那智勝浦町にある那智の滝背後の岩体(↓)も同じものだと云われています。
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 田辺市本宮町にある川湯温泉(↓)は、地下に眠るとてつもなく巨大な花崗岩(長さ60㎞に及ぶという)の余熱によって温められた温泉が大塔川に湧き出したものだそうです。
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 第4の大事件。300万年前に東日本の島々が大隆起し、西日本の巨大な島とぶつかり、奇跡の島は山国になり、今日に至っていると云う。

 で、これですべての謎が完全に解かれたかというと、「紀伊半島四万十帯の地質図」(『URBAN  KUBOTA  38 SEPTEMBER 1999』の付録)を見ている限りではすべてが明らかになったとは言えません。私は潮岬火成複合岩類熊野酸性岩類石英斑岩岩脈(その代表が東牟婁郡串本町橋杭岩(↓))の複雑な動きを全体にどう位置づけたらいいかまだよくわかっていません。
 しかも、あの中央構造線をめぐる問題がどうなったか、問題点が煮詰まらないままに許っておかれた感じがします。

 これらの点を含めて、色々な観点からの反響を期待したい。

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 お断りしておきます。写真はすべて番組の静止画面から取ったものです。
 NHK関係者各位に感謝致します。