酒を呑む中国系陶磁器シリーズ №①

 
  酒が呑めなくなってから、今まで集めてきた酒器のコレクションについて語りたくなりました(笑)。
 
  この坏形の白釉磁器の器面の内外には、薄く白土がかぶせられ、その上に白釉がかけられています。
 
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  石炭を燃料にして高温かつ酸化状態で焼き上げているため、全体としてややクリーム色っぽい白色を呈しています。涙痕のような釉溜はありますが、貫入はほとんどありません。
  高台と高台脇部には白釉がかけられておらず、露胎しています。しかし、高台の作りは雑で、厚い部分と薄い部分がはっきりしています。
  胎土は、定窯の胎土と違って薄黄白色を呈していますが、かなり粘りのある土質であるためか、薄く作られており、厚さは1・2㎜しかありません。しかも、轆轤の痕がはっきりと残されています。
  遼代のものでしょう。中国内蒙古自治区の林東窯の製品か。となると、この坏は、戦争の際に、契丹民族の捕虜となり遼に連れ去られた磁州窯系の陶工たちによって、その技術を使用しこの窯で焼かれたと見ることができるでしょう。
  なお、内部の見込み部分に3つの小さな目跡があります。
  器高は3・1㎝、口径は9・6㎝、高台口径は3・1㎝です。