本日,紀南文化財研究会の会誌『熊野』135号発刊。

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 最初の写真は,以前親戚からもらった栗を使って栗ご飯にしたものです。
 今年も徐々に押し詰まってきましたね。

 ところで,本日(2008年11月24日付けで),紀南文化財研究会の会誌『熊野』135号(86頁)が発刊されます。

 以下に目次を示しておきます。本日の例会で受け取られる会員以外の方は,しばらくたってから和歌山県田辺市のあおい書店や多屋孫書店でお買い上げください。

 論考
  山岳信仰遺跡を読み解く(二)―滝尻王子―・・・・・・・・山本義孝
  近世田辺領における追放刑(流罪)について―田辺の町と田辺組を中心に―・・・・・・・・芝 英一
  旧本宮町・旧熊野川町に遺された熊野参詣道について・・・・・・・・辻田友紀
  南方熊楠宛中山雲表書簡・・・・・・・・中瀬喜陽・濵岸宏一
  文化財ニュース・会合メモ・編集後記

 今回も,色々な立場から『熊野』を強く支えていただいている会員の皆様がたのお陰で力作論文が集まりました。

 山本義孝氏のご高論は,山岳信仰遺跡として多様な内容をもつ滝尻王子を取り上げて詳細な測量調査を実施し,滝尻王子の構造(下宮集石群,上宮,磐座1の前面斜面にある集石群,磐座8内窟),さらには滝尻神社内で発見された諸遺物の分析によって滝尻王子を復元し,その結果,自然と融合したこのような祭祀空間こそが熊野における王子信仰の原型であり,熊野の修験の道を育んできた原点であることを実証した注目すべき論文です。
 このような画期的な論文を紀南文化財研究会の機関誌である『熊野』誌上に掲載できたことを慶びたいと思います。

 芝英一氏のご高論は,田辺城下追放の諸罪状として経済事犯,身分制・身分秩序の侵犯,さらに各種の不法行為についてたくさんの事例をあげつつ実証したものです。
 芝氏の今後の更なる研究の進展に期待したいと思います。

 辻田友紀氏のご高論は,既刊の『田辺市 世界遺産熊野参詣道』で簡略に報告された,請川から湯峯に至る通称「渡瀬道」と,志古から大津荷に至る「万歳峠越」について,実際にその道を辿った様子を記載しつつ,改めて詳しく紹介したものです。
 是非ともこの好論を多くの方々に読んでいただき,「渡瀬道」及び「万歳峠越」を実際に歩いていただきたいと思います。

 中瀬喜陽・濵岸宏一両氏が史料紹介された「南方熊楠宛中山雲表書簡」は,昭和11年から昭和12年にかけて,当時の上秋津村長で郷土史家でもあった中山雲表が南方熊楠宛に送った書簡7通を翻刻したものです。
 歴史資料として大いにご活用いただきたいと思います。