佐伯祐三のもう1つの『扉』へ

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 美術研究家・愛好者としての脇村義太郎氏旧所蔵品の中から,同じく佐伯祐三の『扉』という作品を紹介します。

 この作品は,『工場』と同様,1928年の作品です。パリのリュ・カンパーニュ・プルミエールにある扉を描いたもので,現存しているそうです。

 ここでは明確に写実を意識する基本姿勢が打ち出されています。何気なく描かれたように見えますが,その扉の存在感に心を揺さぶられます。
 あらっ,左手の扉少し開きかけているようですね。そういやあ,右手の扉も少し・・・・。誰か外に出てくるのかな??

 この1928年という年は,佐伯にとって大変苦しくも収穫のあった年だったと推察されます。傑作である『モランの寺』や『煉瓦焼き場』,『郵便配達夫』などが描かれた年でもありますし・・・・。

 写真は,『生誕百周年記念 脇村義太郎-美への好奇心-』より掲載させていただきました。