ギリシア・クノッソス宮殿出土の「蛇の女神像」3体

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 22年前の1985年の冬休みを利用し,ギリシア(正式名はヘラス民主国)旅行の途中でクレタ島内にあるイラクリオン考古学博物館を見学しました。大学の卒論でも取り上げたいくつかの遺物を肉眼で観察することができ,感激しました。

 この中で最も感動したのは,クノッソス第2宮殿西翼にある中央聖所の小礼拝所から出土した有名な「蛇の女神像」3体でした。残念ながら写真撮影はフラッシュの作用により失敗してしまいました(1枚目の写真,その頃は気づいていませんでした)が,捨てるにはもったいないので,恥ずかしながら公表させていただきます。

 3体のうち右端の女神像は下半身しか現存していませんが,左端の,両手を上にむけ腰のあたりで両手を突き出し気味にひろげた女神像は,全身がはっきりと残されており,元の様子がよくわかります。
左の女神像は,真ん中の女神像に比べてやや大きく高さが約34㎝強あります。

 これに対して,真ん中の,蛇を両手に持って肩の所で手を広げた非常に有名な女神像は,高さが約30㎝弱しかありません。

 なお,今までヨーロッパの学会などであまりいわれていないことで特に面白いと思ったのは,女神像のまわりに二枚貝や巻貝などの貝殻がばら撒かれていたことです。
 普通,貝殻は「永続する生命」を象徴しており,貝と関わることによって生命が維持され,さらに生命の復活・蘇生も可能であるとされています。
 死者に貝殻を添える例は,日本でも縄文時代以降よく知られていますが,この場合も同様に解釈できます(拙稿「ギリシア紀行―我が歴史の旅―(其2)」参照)。

 なお,これらの「蛇の女神像」は,いずれもファイアンス製品であり,その製作技術の高さに驚かされます。

〔追記〕2枚目の白黒の写真は,福部信敏『ギリシア美術紀行』より掲載させていただきました。