少林寺所蔵の地蔵菩薩像(修復以前)

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 ここで紹介する仏像は,熊野地方の代表的な仏像で,新宮市(旧熊野川町)日足の少林寺所蔵の地蔵菩薩像(平安時代末期)です。以前,修復後の地蔵菩薩像の上半身像を紹介しました。

 この写真は,修復前の地蔵菩薩坐像の全身像の写真です。松島健氏編『紀伊路の仏像』(至文堂,1985年)より掲載させていただきました。関係者各位に心から感謝申し上げます。

 この地蔵菩薩像は,元来,熊野古道沿いの廃寺(志古奥の万歳峠付近に所在。寺名は不明)にありました。

 私は慶派仏師の代表・「運慶」の父である「康慶」がこの仏像の作者だと考えています。その根拠は,静岡県瑞林寺所蔵の地蔵菩薩像〈治承元年(1177)制作〉との類似性からです。

 しかし,個人的好みからいうと,修復される以前のこのお姿の方がより瑞林寺像に近いと思っています。修復された後の仏像と比べていただければすぐ判ると思います。