本郷和人氏著『人物を読む日本中世史』を推薦する

ここしばらく本郷和人氏著『人物を読む日本中世史』(講談社,2006年)を読み続けています。著者から直接いただいたからという理由からではなく,その筆力と目の付けどころの確かさから妙に手放すことができなくなり,何度も気に入った箇所を読み返しています。
私は大学時代から,個人と社会や組織とのかかわりに着目し,今まで細々と歴史を書き続けてきました。テーマに応じて私淑した学者は違っていますが,この本の中で本郷氏が取り上げているテーマの中で特に「法然」に関して,かつて私淑した(今でも同じですが)黒田俊雄氏の理論との関係もあって,かなり気にかかっています。しかも,これに,シンパシーするかのように,熊野別当湛増の後生を念仏によって弔い非業の最後を遂げたその家人の話も絡み,私の内部でますます興味が高まっていくばかりです。もちろん,共鳴と反発の相乗効果からくるものでしょうが。
是非,皆様にもじっくりと読んでいただきたいと思い,勝手に推薦させていただきます。