遠山美都男『天平の三姉妹』読了。

  遠山美都男『天平の三姉妹』(中公新書、840円+税)を読了しました。
 
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   舞台は奈良時代の日本。
 
  聖武天皇の3人の姉妹(第1皇女・井上内親王、第2皇女・安倍内親王、第3皇女・不破内親王)をめぐる権力闘争と彼等の運命の行方。
 
 安倍内親王は、749〜758年、764〜770年にかけて、孝謙天皇称徳天皇となり、皇統を受け継いで権力をふるいました。
 
  井上内親王は、伊勢神宮斎宮内親王退任後に白壁王と結婚。770年、称徳天皇の死後、白壁王が光仁天皇として即位。井上内親王は皇后となり、息子の他戸親王は皇太子となる。しかし、775年、光仁天皇への反逆罪により、他戸親王と共に幽閉され不審死を遂げる。この後、間もなくして異母兄で皇太子となっていた山部親王が781年に即位し、桓武天皇となった。
 
  不破内親王は、天皇になることを期待された塩焼王と結婚し、2人の息子をもうけながら、764年に不慮の死を遂げた夫の死後、782年におこった次男の氷上川継の謀反容疑により、桓武天皇の命令を受け、娘達と共に淡路に流された。そして、794年に和泉に移された後、消息が途絶えてしまったという。没年不明。
 
  聖武天皇の末永く皇統を自分の血筋で伝えて行きたいという願いはすべて水泡に帰してしまったようです。
 
  非常にわかりやすくて面白い、ミステリ仕立ての史書です。