日本山岳修験学会からの帰途 №④ B 上田市別所温泉と常楽寺

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 11月6日に長野県上田市別所温泉へ行って来ました。
 別所温泉(べっしょおんせん)は,夫神岳に抱かれた鄙びた温泉場です。『枕草子』では「七久里の湯」などと呼ばれ,古くからよく知られた温泉だったようです。

 なお,別所温泉を含む独鈷山・夫神岳・女神岳に囲まれた盆地は,「塩田平」(しおだだいら)と呼ばれ,鎌倉時代に鎌倉執権家の一族である塩田北条氏が勢力をはった地域として知られています。「塩田平」には,鎌倉時代から室町時代にかけての文化財がたくさん残され,「信州の鎌倉」とも呼ばれています。

 1枚目の写真。別所温泉の表示板です。

 2枚目・3枚目の写真。別所温泉駅から少し歩いた所に,「平維茂将軍塚」と呼ばれている円墳があります。その真偽のほどは分かりませんが,伝承地の頂上に石造の七層多層塔(鎌倉時代制作か)が建てられています。

 塚の右手の道を入って行きますと,常楽寺(天台宗)があります。この寺は,平安時代前期の天長年間(824~834)に慈覚大師によって開かれましたが,鎌倉時代から室町時代にかけて塩田北条氏や海野氏によって再興され,信州の天台密教学の中心地となりました。

 4枚目の写真。常楽寺へ上って行く階段の写真です。この頃は紅葉がまだこのように鮮やかでした。

 5枚目・6枚目の写真。これは常楽寺の本堂の写真です。江戸時代中期後半(1730年代)に建造された寄棟造り・茅葺きの建築物で,正面中央に唐破風の向拝がつけられています。上田市有形文化財(建築物)に指定されています。

 7枚目の写真。やはり,この頃はまだ紅葉がこのように鮮やかでした。

 8枚目の写真。境内の木立の中に高さ約3mの石造多宝塔(中央)があります。この塔には弘長2年(1262)の年号が刻まれ,その典型として国重要文化財に指定されています。弘長2年といえば,前年に塩田北条氏の始祖というべき北条義政の父北条重時が64歳で亡くなっていますので,何らかの関係があったのかもしれません。なお,その左右(七層・五層)にある約2mの石造多層塔(鎌倉時代制作か)は市文化財に指定されています。

 9枚目の写真。市文化財に指定されている石塔群の一部であるこれらの五輪塔は,別所温泉の大島屋旅館裏で発見されました。

 10枚目の写真。常楽寺から・別所温泉と「塩田平」方面を眺望しました。素晴らしい景色ですね。