ミュリエル=バルベリ『優雅なハリネズミ』を紹介します。

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 『朝日新聞』でも推薦されていましたが,『優雅なハリネズミ』(早川書房,2008)を紹介します。フランスの作家・ミュリエル=バルベリの作品です。

 老婦人ルネは,未亡人となった今もグルネル通り7番地の高級アパルトマン(日本の高級マンションにあたる)の管理人をし,フランスの常識的管理人として生き抜いていくため,高級アパルトマンの住民に対して愚人を装おいつつ,自分の知性と教養をひた隠しにして暮らしていました。

 一方,上層社会で生活する少女パロマは,ずば抜けた自分の感性と頭脳を持ちながら,12歳で自殺することを決意し,俗人である周囲の人々に対して軽侮の視線を注ぎつつ,生活していました。

 そんな2人がある時,5階に引っ越して来た,ある人物と出会いました・・・・。

 この小説は,身分格差の大きいフランスの階級社会で暮らす,下層階級出身の老婦人ルネと,上層社会で自殺を決意して生活する少女パロマが,ある日本人紳士カクロウ=オヅと出会うことによって,自分たちの真実の人生に目覚めていく様子を描いた小説です。

 この本と出会えてよかったと思います。