田辺市中辺路町温川にある西光寺蔵の阿弥陀如来立像

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 この阿弥陀如来立像は,和歌山県田辺市中辺路町温川(ぬるみがわ)にある西光寺本堂の阿弥陀堂に安置されている仏像です。
 
 これまた昨日の仏像と同じく傷みが激しく見えますが,虫に食われているのは漆箔の部分だけで木材内部は足部を除いてあまり被害を受けていないようです。本像は,まだ田辺市文化財には指定されていません。

 本像が制作された時期は,大河内氏によりますと,平安時代後期(12世紀後半頃)だそうです。ちょうど温川に集落ができ始めた頃でしょうね。

 この地域は,富田川の支流中川の中流域に位置し,室町時代後半(戦国時代)には栗栖川庄の一村を構成していました。もっとも,この地域は,熊野参詣道(中辺路)からかなり離れた所に位置していましたが・・・・。

 温川には,栗栖川庄全体の総産土社であった春日神社がありますので,西光寺は春日神社の別当寺であったのかもしれません。なお,春日神社には,明応7年(1498),享禄3年(1530),永禄11年(1568)の棟札が所蔵されています。

 仏像の写真は,和歌山県立博物館編『世界遺産登録記念特別展 熊野本宮大社熊野古道』(2007)より掲載させていただきました。