南部川の上流・清川山中から切り出された清川石

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 和歌山県の石に関する話を続けます。

 南部川流域出土の盆石・水石といえば,なんといっても石灰質ノジュール(団塊)である古谷石が有名ですが,古谷石は音無川層群の下部層にあたる瓜谷累層(約5700万年以上前の地層)から出土する岩石です。

 南部川の上流・清川山中から切り出された清川石(紀州五色石)も「日本ロッソー」という商品の名で知られています。
 この清川石は,以前,薄く平石に加工されて,大理石のように使われたこともあったようです。

 1枚目の写真は原石の断片です(あともう1つあるのですが,それはちょっと小さいのでここでは省略しました)。これらは,手に入れた時点で,採掘禁止となっていたため,加工せずにそのまま保存しています。

 2枚目の写真はその原石を形をできるだけ壊さないように細かく削って磨き上げたものです。「紀州五色石」の別名もある清川石は,御覧のように赤色,赤紫色,濃緑色,薄緑色などの模様と,この石にははっきりとあらわれていませんが,白色の模様がモザイクのように入り混じって,微妙な魅力を発しています。
 最初の写真の原石の3分の1くらいの大きさしかありませんが,横に寝かして撮影しました。

 3枚目の写真は,山形に形をできるだけ壊さないようにして磨き上げた赤色と白色だけの清川石を上から撮った写真です。

 その正体は,「超塩基性」の「角礫状蛇紋岩」だといわれています。つまり珪酸分が極めて少ない「超塩基性」の火成岩の一種です。その硬度は,安山岩と大理石の中間といったところでしょうか。