宝篋印塔と浮き彫りにされた仏像。

イメージ 1

イメージ 2

 ここにあげる写真は,和歌山県新宮市の対岸,三重県旧鵜殿村にある中世の熊野水軍の旗頭・鵜殿氏一族(熊野別当家出身)の墓地の中にあるかなり珍しい宝篋印塔です。

 珍しいのは,宝篋印塔の塔身の月輪(がちりん)の中に種字(梵字)以外に浮き彫りにされた仏像が刻まれていることです。
 右側に見える種字は,「タラーク」(宝生)と思われます。これが金剛界四面仏をあらわしているのだとするならば,この仏像は「弥勒」をあらわしているのかもしれません。

 設立時期は,鎌倉時代末から南北朝時代にかけてのものだと推定されています。

 このような仏像のある宝篋印塔は紀伊半島では,高野山由良町(興国寺の所在地),本宮町,そして新宮市などに分布しているようです。何か文化的な流れがあるのかもしれません。

 石造物研究も結構面白いですよ。

 何か情報がございましたら,是非お知らせください。