『深川黄表紙掛取り帖(二) 牡丹酒』を読了。

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 先日,山本一力『深川黄表紙掛取り帖(二) 牡丹酒』を読み終わりました。
 スケールが江戸から土佐に拡大し,前作以上に面白かったです。やはりストーリー展開がゆったりとしていながら,歴史の一齣を見ているような感じで,無理なくストーリーが展開されていました。さらに,著者の土佐の国情や名産物(名酒司牡丹や鰹の叩き)にかんする薀蓄も嫌見なく書かれているところにその勉強ぶりを感じました。
 
 しかし,残念ながら後半ちょっと息切れしたようです。雑誌に連載された時の原文を読んでいませんのでよくわかりませんが,単行本化するにあたり,文を加わえたり減じたりして纏まりをつけようとしたのでしょう。
 しかし,最後の方は,筋の展開に必要な話が幾分省略されているようで,やや書き込み不足といった感じがしました。

 もっとも,文体の歯切れの良さには変わりがなく,良い小説を読んだなあ,という思いに変わりはありませんし,満足しています。

 なお,今日から羽太雄平さんの与一郎シリーズ第3弾『家老脱藩』を読み始めました。時代小説って面白いですね。大好きです。