奥本大三郎『東京美術骨董繁盛記』を読み続けて

ここしばらく,奥本大三郎東京美術骨董繁盛記』(中公新書)を読み続けています。

何せ私は,同時並行で何冊もの本を読む性質の人間ですから,一冊を読むのに実に時間がかかります。この本はこれで3日目ですが,4日目の明日には終わりそうです。

でも,私はこの種の本が好きなんです。もちろん,それには,美術関係の書物を読むのが好きだ,という意味もありますが,何かの事件やできごとを巡る様々な裏話を集めた書物が好きだ,という意味もあります。残念ながらこの手の書物には,波乱万丈な話はあまりありませんが,時々,「オー」っというような思いがけない話が披露され,生きていく上で随分と参考になる様々な知恵や人に対するいとおしさがこめられているものです。

東京の壷中居,繭山龍泉堂,甍堂,吉平美術展,小西大閑堂,欧亜美術,はせべや,小宮山書店など私の人生と少しずつ関わりのあったお店もあります。いやあ,なつかしい。

店主や店員の顔を思いうかべながら,いま,過去と現在を行きつ戻りつ,本を読んでいます。