紀伊考古学研究会8月例会のおしらせ

紀伊考古学研究会8月例会のおしらせ

 日時 2006年8月20日(日)午後1時半から
 場所 「紀伊風土記の丘資料館」(和歌山市岩橋1411番地)
 内容 夏期企画展「紀ノ川流域の埴輪」展見学会
    
 岩橋千塚古墳群を構成する前方後円墳の1つである大日山35号墳の埴輪(世にも珍しい空飛ぶ鳥形埴輪)を始め,多数の形象埴輪や円筒埴輪が展示されています。資料館の学芸員(考古学専門家)に案内していただきます。入館料(一般170円)を支払っていただき,展示室入口付近にお集まり下さい。

「2003年度の調査で大日山35号墳の墳長が約96mを測り、和歌山県で最大規模の前方後円墳であることが判明しました。墳丘は3段築成で、2段目の東西くびれ部は造り出しが構築されることが明らかとなり、井辺八幡山古墳と非常に類似した墳丘形態と考えられます。墳丘の築造は、結晶片岩の岩盤を整形して行い、盛土は部分的な範囲にとどまることが判明しました。このように自然地形を利用して墳丘を築造しているため、後円部が前方部より低くなったと考えられます。築造時期は、石室羨道部や造り出しで出土した須恵器を総合的に検討すると、6世紀初頭に位置付けられ、羨道部で出土した須恵器からは追葬が行われた可能性が考えられます。
今回の調査成果により、墳丘規模から大日山35号墳が当該期の紀伊における首長墳であったと位置付けることができるようになりました。さらに、くびれ部で検出された造り出しでは、多様な形象埴輪を樹立した古墳時代における埴輪祭祀の具体的な姿を目の当たりにすることが出来ました。この形象埴輪群は、近年調査された当該期の大王墳とみられる大阪府の今城塚古墳や県内の大谷山22号墳、井辺八幡山古墳などとの比較検討を通じて、古墳時代における王権中枢や地方首長の古墳祭祀のあり方を考察するための貴重な資料になると考えられます。」(和歌山県文化財センター提供「大日山35号墳の説明文」より)