澤田ふじ子著『祇園社神灯事件簿・お火役凶状』

澤田ふじ子著『祇園社神灯事件簿・お火役凶状』を読み上げました。時代小説といえば，江戸を舞台としたものが多い中で京都を舞台にしたものは少なく，この作家の書く本をいつも楽しみにしています。
シリーズものということで，人物紹介が毎回繰り返されるのがわずらわしいのですが，江戸ものにはない親近性があります。
大学生時代に京都をあちこちとさ歩き回ったことがあり，それが地名や文物に対する懐かしさと記憶をがよみがえらせてくれているのでしょう。
今回の作品は特に運命のいたずらから罪を犯した人に対する思いやりあふれる作品が多く，感性と情け心を磨きながら読み終えることができました。
「人が人を裁くのではなく，神が人を裁こうとしているのじゃ」。記憶に残る良い言葉ですね。