鈴木正崇氏著『熊野と神楽』のご紹介


 本日、人間文化研究機構国文学研究資料館から、「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」の成果発進の一環として刊行された鈴木正崇氏著『熊野と神楽―聖地の根源的力を求めて―』(平凡社、2018年5月が送られてきました。
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 鈴木正崇氏は文化人類学・宗教学・民俗学専攻の慶応大学名誉教授で、私も入っている日本山岳修験学会の会長でもあります。そういう意味で大きな縁があるのですが、まず氏の本が国文学研究資料館から送られてきたことに驚きました。
 これには、毎年和歌山市でおこなわれる紀州地域学共同研究会(研究代表和歌山大学教授大橋直義氏)の熊野や修験に絡む会に顔を出し、そのつどシビアーな質問と意見を投げかけていた、私の向こうみずな行動が影響していたのでしょうか。
 いずれにしても、研究内容に関する様々な意見を求めてご恵送いただいたことを心から感謝致します。

 【目次】
 はじめに
 一 湯立から湯立神楽
  1 熊野信仰の中核
  2 各地の湯立と熊野
  3 熊野の湯立と神楽
  4 大神楽の「浄土入り」
  5 湯立から湯立神楽
  6 湯立の起源伝承
  7 熊野信仰の多様な展開  
  8 熊野信仰の伝播と神楽 
 二 縁起から神楽へ
  1 熊野の祭神と縁起
  2 熊野と彦山の縁起の比較
  3 切目王子の位置づけ
  4 切目王子に関する伝承
  5 護法童子への展開
  6 ナギと牛玉宝印 
  7 羯鼓切目と切女―切目王子の地域的展開1
  8 切目と見目―切目王子の地域的展開2
  9 天の祭りと湯立
  10 白山の浄土入り
  11 七十五という聖数
  12 牛玉の変容
 あとがき

 これから、数多くある熊野に関する研究に熊野と神楽との関係を主軸とした新しい視点を呼び込む鈴木氏の野心的な試みを、ゆっくりと読み解いていこうと思います。