桐村英一郎氏の新著『イザナミの王国 熊野』を紹介します。
この本は桐村英一郎氏の民俗学に関する5冊目の著作です。
桐村氏によると、熊野山は、新来の神である「結早玉」神が、元来この地方で祀られていた本つ神を押し退ける形で、有馬から熊野川河口の新宮へ、そしてさらにその上流の中洲・本宮へと遷座したことにより成立したようです。
目次は次の通りです。
Ⅰ 南海
1 プロローグ――常世への憧れ
2 影が薄いイザナギ
3 女神の死が豊穣を生む
4 ハイヌウェレ神話
5 イモから五穀の神話へ
6 火は女性の中にあった
Ⅱ 地母神
1 母から子へ命のリレー
2 独自の神格「結早玉」
3 淡路の神話が宮廷へ
4 異なる二神の性格
5 母神には海辺が似合う
Ⅲ 有馬
1 『いほぬし』と花の窟
2 旅日記の描写の変遷
3 藩主の碑は語る
4 産田社の白石
5 稲作の祈りが鎮魂祭に
6 本宮の「挑花」に注目
7 神話の里を散策
Ⅳ 河口の神
1 勘文が残した縁起
2 縁起に混在する古伝承
3 新来の神に新たな名前
4 洪水を防ぐ祈り
5 寄り来る神迎える祭り
6 速玉と黒潮を繋ぐもの
7 激しい昇格レース
Ⅴ 大斎原
1 中洲の神の心象
2 社殿の変遷は語る
3 神と仏の角逐
4 坐神から家津御子神へ
5 出雲の神名が影響
6 ケツミコとスサノヲ
Ⅵ 大滝
1 滝本から始まった祭祀
2 女神を受容する土壌
3 那智に移った中心軸
Ⅶ 痕跡
1 宣長と産田社の絆
2 那智山にわたる有馬の歌
3 産田社を尊ぶ本宮
4 花の窟からイザナミ迎える
5 今の地名たどった行列
6 我がものにしたい神
7 エピローグ――私からの応援歌