「南紀男山」焼銘の染付花生

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 田辺市大塔村の村史編纂のため大塔村内を調査していたところ,ある旧家で「南紀男山」焼銘の染付花生を見出すことができました。
 そこには,写真にあるように「染付」の技法を用いて,下部に生々とした獅子の文様が描かれていました。まず,その表現の素晴らしさにびっくりしました。

 南紀男山焼の陶器製作場は、文政10年(1827)に紀州藩の支援を受けた山崎利兵衛(1877年没)によって広村(現広川町)において開かれました(『南紀徳川史』)。
 そこでは,皿や茶碗,火鉢,水指,花生などの日用雑器・茶道具類が作られていました。

 青一色で模様を焼き付ける「染付」は、南紀男山焼の代表的な技法であり、その技法を利用して龍や獅子・唐人を描いた中国風の作品や、紀三井寺や和歌ノ浦などの紀州の風景を描いた作品が作られました。
 他に三彩や青磁の作品も作られ、「三彩狛犬」は、県文化財に指定されています。

 なお,南紀男山焼の陶器製作場は明治11年(1878)に廃窯となりました。