久保昌雄氏『熊野百景写真帖』所収の3枚の写真

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 明治33年5月に和歌山県新宮町(現新宮市)の写真家・久保昌雄氏が発刊した『熊野百景写真帖』(和歌山県立博物館所蔵)から現新宮市に関する3枚のモノクロ写真を選んで紹介します。

 1枚目の写真は,当時の新宮町の熊野川南岸の町並みの写真です。川船や筏が見えています。当時の新宮町は人口が1万5千余人あったそうです。
 川原には,今はなくなった小屋がけの家がたくさん建てられていたことがわかります。
 この写真は私のお気に入りの写真で,よく見ればこちらに語り掛けてくるものがたくさんあります。

 2枚目の写真は,当時の熊野川河口の写真です。三重県鵜殿村の鵜殿港や,蓬莱山の西方にあった池田港に停泊している海洋用の帆船が望見できます。
 なお,河口は水路が複雑だったため,座礁したり難破する船が多かったようです。

 3枚目の写真は,三輪崎浦の捕鯨に関連した写真です。江戸時代,三輪崎には二歩口役所も置かれ,有数の漁港・捕鯨の基地として栄えていました。
 集落内にある三輪崎八幡神社の例祭は9月16日に行われますが,その際に奉納される鯨踊りは県無形民俗文化財に指定されています。