「謎の源氏物語絵巻を追う」の記事

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 『日本経済新聞』2008年7月27日付けの「謎の源氏物語絵巻を追う」の記事(記者は宮川匡司氏)に興味をひかれました。

 写真を御覧ください。

 名古屋市東区徳川美術館所蔵の「源氏物語絵巻・桐壺」(江戸時代前期の明暦元年<1655>に制作か)が世上の関心を広く集めています。

 なぜでしょうか。

 絵第三段に,重い病で床に着き白い肌を露出させた光源氏の生母・桐壺更衣の姿がこれまでになくリアルに描かれています。その右手で顔を覆っている人物は更衣を寵愛した桐壺天皇でしょうか。
 死期が近づくと,桐壺更衣は,穢れを怖れる宮中を去って里に下がらなければならないわけで,更衣と天皇の心を思いやる女房たちの嘆きがこちらにリアルに伝わってきます。

 桐壺更衣の手前,白几帳の右下に女房に抱かれて後ろ向きで座っている小さな背中が見えていますが,この子は光源氏でしょうか(エステル=レジェリー=ボエール氏説)。
 『源氏物語』には,病の床にある母桐壺更衣を光源氏がじっと見詰める,という場面は全く出てきません。この場面は,ある意図のもとに,当然ありえた場面として,この絵巻の絵師が創作した場面でしょう。

 この絵巻の絵師は,この絵巻の中でいったい何を主張しているのでしょうか。

 皆さんも是非,『日本経済新聞』に掲載されたこの記事をお読みください。