新宮市蓬莱山遺跡出土の海獣葡萄鏡模倣鏡

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 新宮教育委員会は,1959年に発見された蓬莱山(同市阿須賀)の銅鏡「御正体」194面の中に,奈良時代末期から平安時代初頭にかけて祭祀用として使われた海獣葡萄鏡(これは中国伝来)の模倣鏡が一面含まれていたと発表しました。

 蓬莱山は,阿須賀神社の神体山で,今回確認された9世紀頃の海獣葡萄鏡の模倣鏡は,熊野三山信仰成立以前の蓬莱山を中心とした,古代熊野の祭祀遺跡の有り様を考える上で重要な史料となりうるとしています。

 ただ,この遺跡はそれ以後に一括埋納された経塚遺跡とも考えられるので,那智経塚遺跡でも問題になりましたが,その場合はこの鏡がどこから,どのような遺物と同伴して,どのような状態で出土したかが問題となります。

 新聞記事にはそこまで書かれていないので,5月11日午前10時から阿須賀会館で開かれる特別記念講演会でどのような見解が示されるか,楽しみです。講師は立正大学准教授の時枝務氏(宗教考古学)と市教委の山本殖生氏です。

 記載するにあたって,2008年5月1日付けの『紀伊民報』の記事を参考にしました。