根来寺と根来塗り

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 和歌山県立博物館でひらかれている根来寺展も間もなく終ろうとしています。坊院跡から出土した朱漆器片(「延命院」「理性院」「筒井坊」などの底銘あり)も展示されていますので,その原物も実見して頂きたいと思います。

 ところで,根来塗りは根来寺でつくられた,黒漆で下塗りした上に朱漆を施した漆器のことをいい,天正13年(1585)に豊臣秀吉の根来攻めによって廃絶したとされています。しかし,根来産もしくはその可能性が極めて高い遺品は,数例しかありません。

 ここで,今回の企画展の展示物ではありませんが,その数例のうちの2つをあげてみます。

 1枚目の写真は,「実相院谷/威徳院/乙酉之年」銘のある足付盥の写真です。有銘の足付盥といえば茨城県六地蔵寺所蔵のそれが有名です。そこには,「六蔵寺二対内/細工根来寺重宗/本願法印恵範」との底銘があります。なお,個人蔵の丸鉢に「文明 /根来寺知足院/常住」という底銘のあるものもあります。

 2枚目の写真は,「根山伝法明王院」銘のある奈良県長谷寺所蔵の前机の写真です。

 実は,我が家にも根来塗りの杯や向付・折敷・三ツ椀等がありますが,いずれも江戸時代のものなので厳密な意味での根来塗りとはいえないかもしれません。

 写真は,『遊楽』9号「特集 根来」より転載させていただきました。