紀南文化財研究会の会誌『熊野』131号発刊。

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 紀南文化財研究会の会誌『熊野』131号(73頁)が2007年9月に発刊されました。日付は諸般の事情により2006年12月3日になっています。

 以下に目次を示しておきます。会員以外の方は和歌山県田辺市のあおい書店や多屋孫書店でお買い上げください。

 論考
  熊野像の原点の検証・・・・・・・・桑原康宏
  熊楠と正月風景・・・・・・・・橋本邦子
  南方熊楠日記にみる白浜時代・・・・・・・・濱岸宏一
  時の碑文(いしぶみ)-石に刻みて,後世に伝えむ-(三)-・・・・・・・・宮本恵司
  紀伊半島におけるハマボウの生育地-二〇〇六年六月までにおける調査報告書-
                               ・・・・・・・・小川昭造
  弁慶伝説・・・・・・・・みずもとゆうぞう
  郷土関係新刊紹介・文化財ニュース・会合メモ


 これらの論文の中で特に注目したい論文は,桑原康宏氏の「熊野像の原点の検証」です。桑原氏は「木の実が日常食の熊野」「熊野と栽培植物,米との関わり」「平地人の価値観,感覚で見る山村像」「隠国は死者の国という意味か」などの項目を設定し,通説を疑うと共に,最後に「熊野は宗教の聖地を持つ地ではあるが,そこに居住する住民は,普通の庶民であり,熊野はすべて宗教に彩られた地ではないということを改めて認識すべきであると考える」とまとめておられる。

 地理学と歴史学という研究分野の違いがあるとは言え,私が堅持してきた立場と同じ立場に立つ仲間(田辺高校の先輩に対してこういう言い方は失礼であるが)を得て,心強い限りです。

 なお,みずもとゆうぞう氏が書かれたシナリオ「弁慶伝説」は,去年までの数年間,弁慶祭りの演劇で使用されたシナリオです。大いに注目していただきたいと思います。