宇江敏勝氏著『世界遺産熊野古道』を紹介します。良い本です。

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 昨日,2001年に発行された紀南文化財研究会編『熊野古道 大辺路調査報告書 田辺市から串本町まで』を紹介しました。

 実は,今年の2007年か来年の2008年に,紀南文化財研究会編で熊野古道中辺路・大辺路小辺路伊勢路大峯奥駈道についての『調査報告書(田辺市編)』を発行する予定になっています。

 私も3人の会員(調査委員)とともに調査した中辺路の一部(小広峠から本宮大斎原まで)について執筆しています。

 今回は,近世・近代以後の熊野古道だけでなく,中世の熊野古道についても探りを入れつつ,憶測・仮説を交えて幾分大胆に書きました。
 ちょっと大胆に,しかもたくさん書き過ぎだ,との,編集担当委員からの指摘もありましたが・・・・最後には,今までの先人が残した研究成果をできるだけ盛り込みたいとの私の切実な願いを聞き入れていただき,これでOKしてもらいました。

 なお,その執筆に際して私が特に参考にさせてもらった文献の中に,宇江敏勝氏著の『世界遺産熊野古道』(新宿書房,293頁,2004)があります。
 3年前の2004年に発行された本ですが,単なる案内書ではなく優れた文学書として,『世界遺産熊野古道』を紹介させていただきます。序章,第一章小辺路,第2章中辺路,第3章大辺路の章立てになっています。
 定価は,2000円+税金です。

 宇江さんは,炭焼きをしていたご両親に連れられ小さい頃から熊野各地を転々とされ,長じてはご自分も炭焼きや林業に従事しつつその体験を文章化し,今も中辺路沿いの野中地区に居を構えながら,「山の作家」(ノンフィクション・ライター)さらには熊野語部として活躍中です。

 作品としては,『森をゆく旅』『炭焼日記』『山に棲むなり』などの作品があります。

 熊野を,単なる旅人としてではなくそこに住む者の立場から描いた本として,是非,ご購入,ご愛読いただきたいと思います。