野田宝篋印塔の近況

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和歌山県有田川町へ行ってきたついでに,同町野田(旧吉備町)にある,県指定文化財の野田宝篋印塔(南北朝前期,貞和二年〈1346〉銘)を写してきました。

でも,ずっと以前に見た時とは様変わり。まわりを柵で囲まれ,中に入れないようになっていました。仕方ないので,外から写真を撮りました。

この宝篋印塔には珍しくすべての部品が揃っています。塔の高さは3・21m。圧倒的な存在感があります。塔身の背面に左右各々一行として,「貞和二年丙戌三月十八日,大願主沙弥盛範,大工橘国安」と刻字されていることでも有名です。

この野田宝篋印塔があった付近には,以前,「観音寺」とよばれる寺院があったようで,県文化財関係者K氏はこの観音寺を律宗系の寺院と推定しています。
私は明徳二年〈1391〉の『西大寺諸国末寺帳』に記された「観音寺」がこの観音寺であればいいなあ,と妄想しています。