『通訳ダニエル・シュタイン 上下』を今読んでいます。

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 リュドミラ・ウリツカヤ『通訳ダニエル・シュタイン 上下』(新潮社、2009年)を今読んでいます。

 ナチズムの渦巻く戦前の東欧から、パレスティナ紛争に揺れる戦後のイスラエルへ渡って来た、実在のユダヤカトリック神父オスヴァルト・ルフェイセンをモデルにした小説です。

 以下、小説を紹介します。

 運命のおもむくままにゲシュタポナチスの通訳をしながら、たくさんのユダヤ人をゲットー(収容所・処分所)から逃亡させホロコーストを逃れさせたユダヤ人のダニエル・シュタインは、カトリック神父となって戦後、ユダヤ人・パレスチナ人の国家であるイスラエルへ渡った。

 しかし、ダニエルの苦悩は終わらなかった。ダニエルは、イスラムドルーズ派の協力をえて宗派・民族を超えて、ユダヤ人・アラブ人などのカトリック教徒を受け入れる弱者のための教会をつくったが、ユダヤ教徒、母体であるカトリック教会、イスラム教徒などから様々な妨害を受け、ローマ教皇庁からも問題視された。

 作者のリュドミラ・ウリツカヤは、この小説の中でホロコースト問題だけでなく、イスラエルパレスチナ問題をも含めた非常に大きなテーマにもとづき、スケールの大きな物語を展開させています。

 是非、この面白い小説をお読みいただきたいと思います。