高橋修氏著『異説 もうひとつの川中島合戦』を推薦。

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 今もっともタイムリーな本を紹介します。

 高橋修氏著『異説 もうひとつの川中島合戦-紀州本「川中島合戦図屏風」の発見-』(洋泉社,2007)がそれです。
 上杉謙信の軍師として,NHK大河ドラマ風林火山』に,緒形拳扮する宇佐美定満(定行??)が登場し,上杉方勝利に貢献したとありますが,この本の中で,通説とは違う結論に導いた,その子孫が残した紀州本「川中島合戦図屏風」にまつわる問題があらゆる角度から検討されています。

 その結果,衝撃の結論へ・・・・。

 かなり以前にご恵贈いただいておきながら,今頃紹介するのも申し分けないのですが,実に面白い本です。

 目次を示すと以下の通りです。

はじめに

第Ⅰ部 紀州本「川中島合戦図屏風」を読み解く
 第一章 不思議な「川中島合戦図屏風」
  1,川中島の戦いとは?
  2,通説と喰い違う「川中島合戦図屏風」が出現!
 第二章 一騎打ち図像から典拠を探す
  1,屏風絵と関連する軍記の存在
  2,軍記の作者は宇佐美定祐

第Ⅱ部 軍師から軍学者へ,宇佐美一族の虚と実
 第三章 謙信軍師・宇佐美定行の発見
  1,気になるもう一人の主役
  2,一次史料とは符合しない"幻の軍師"
 第四章 親子の軍学者,その正体を暴く
  1,定祐の父・宇佐美勝興の実像
  2,越後流軍学者・宇佐美定祐の誕生
  
第Ⅲ部 殿様と軍学者の「戦国勝宣研究」
 第五章 紀州の殿様と軍学者が取り組んだこと
  1,誰が紀州本「川中島合戦図屏風」をつくらせたのか?
  2,紀州の殿様と越後流軍学者
  3,「定祐説」の普及と『北越軍記』の役割
 第六章 殿様はなぜ戦国合戦を「研究」させたのか?
  1,頼宣の危機感と「御三家」幻想
  2,将軍家に対抗しうる「武の系譜」の創出
  
終章 「越後流軍学」の末路
 
おわりに

 定価780円です。是非,お読みいただければ幸いです。